イントロダクション
浩太の自室
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浩太 「あうっ!」
どくどくっ、と熱い痙攣とともに、大量の精液が噴出した。
―――ティッシュペーパーの上に。
浩太 「はぁ……」
黄色みがかって粘っこいものが手に引っかかって熱い。
浩太 「うわ、ひっかけちゃった……」
あわてて指をぬぐう。
もちろん、口で受け止めてくれる智恵理先生はいない。
自分の部屋で一人、下半身丸裸のまま後始末をするのは、客観的に見れば相当情けない光景だ。
浩太 「……あーあ」
丸めたティッシュをゴミ箱に放り込み、パジャマのズボンをはく。
浩太 「またやっちゃったよ……」
虚脱感と、背中にのしかかる自己嫌悪。
憧れてる女の人を汚してしまったような気がして。
浩太 「……なんだかなぁ……」
放課後のことを思い起こす。
生徒指導室(回想)
智恵理 「こほん。……それでね、今日来てもらったのは、つまり……」
身を固くする。
先生はバインダーを開きながら続けた。
智恵理 「ええと……恋川君、この間の期末テスト、ちょっと順位下がってたから。どうしたのかな、って」
ちょっと安心。あのことじゃないらしい。
浩太 「すみません」
智恵理 「あ、謝らなくてもいいのよ?頑張って、それでも調子悪かったならしかたないし」
浩太 「はい」
智恵理 「何か心配事あるとか?先生で相談に乗れることなら、話してくれてもいいのよ?」
浩太 「そういうわけじゃ、ないんですけど……」
不思議そうに首をかしげる先生。
智恵理 「恋川君、優等生だから。ちょっとくらい下がっても心配することないかなって思ったんだけど。やっぱり副担任としては、すこし気になるし……」
浩太 「なんでもないんです」
ただ勉強が手に付かないだけです。
すぐ先生のこと考えちゃって。
智恵理 「そぉ?……ほんとに?」
浩太 「……」
先生はため息をついた。
智恵理 「あのね、私恋川君にはいろいろ助けられてるから……力になれたらなって、思うの
情けなくて頼りない先生だけど、できることがあったら……恋川君、前に私にそう言ってくれたよね?」
浩太 「はい」
あのことを覚えていてくれた。
それだけで嬉しくなってしまう。
智恵理 「だから、今度は私が、って。何か悩みがあるなら、助けてあげたいの」
そりゃ先生なら解決できるかもしれないけど。
でも、そんなの無理だ。
……先生に、僕の恋人になって欲しい、なんて。
浩太 「大丈夫です。夏休み頑張って取り戻しますから」
智恵理 「あ、うん。無理することはないのよ?できる範囲で頑張れば……恋川君、生活態度とかまじめだから問題になるようなことはないし」
浩太 「はい……」
智恵理 「……話はそれだけ。恋川君がだいじょうぶって言うなら、先生信じるね?」
浩太 「……」
無条件の信頼が重たい。
智恵理 「それじゃ、今日は帰っていいよ。先生もこの後会議あるから」
浩太 「はい、失礼します」
立ち上がって頭を下げ、出て行こうとした。
智恵理 「あ、そうだ……」
声に振り返る。
智恵理 「あのね、ええと……」
ちょっと頬を赤らめ、言いにくそうにしている。
浩太 「なんですか?」
智恵理 「うん、その……」
先生は胸に手を当てて息をつき、それから言った。
智恵理 「えと……あのね。授業……ええと、授業中は集中した方がいいかな、って……今日……」
ああ、やっぱり。
浩太 「今度から気を付けます」
智恵理 「あ、怒ってるんじゃなくてね……その、成績のこととかもあるし……」
浩太 「ごめんなさい」
頭を下げた。
智恵理 「謝らなくていいのよ?でも、学生の本分は勉強だから……ね?」
浩太 「はい」
心配してくれてるのがわかるから、反抗する気なんて起きない。
智恵理 「それだけ。うん、それじゃ、また明日ね?」
浩太 「はい」
気遣わしげな視線を背にして、僕は部屋を出た。
浩太の自室
浩太 「あーあ……」
考えないようにしようとしてもダメ。
何かの拍子に先生の顔が浮かんで、そして、その先は―――
ありとあらゆるいやらしい妄想が頭の中を飛び交って、我慢しようとはするんだけど。
しばらく悶々としたあげくいつも結局我慢できず、ティッシュの消費量は増える一方。
浩太 「そりゃ、こんなことばっかりしてたら成績も下がるよな……」
ため息をついて布団に潜り込む。
浩太 「寝よ」
……先生の夢見て夢精しなきゃいいけど。
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